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【アイティメディア】"EE Times Japan" 『“異端児エンジニア”が仕掛けた社内改革、執念の180日』 第5話「会社を変えたい――思いを込めた1通のメール」は本日公開

“異端児エンジニア”が仕掛けた社内改革、執念の180日(5): 

会社を変えたい――思いを込めた1通のメール

社長の日比野に直談判した須藤は早速、行動を起こす。とにかく会社を何とかしたい。自分と同じように考えている“仲間”を集めて、この逆境を乗り越えたい――。その思いだけを胸に、須藤は、恐らくは自分と同じように感じているだろう“仲間の候補”たちに1通のメールを送ったのだった。

社長の思いも同じなのか

 社長の日比野と直談判した須藤は、今回の経営刷新計画は社長の本意でないと感じていた。同時に、「社員がその気にならない会社に未来はない。真剣に会社の未来を考える人間がどれだけいるか。経営者だけでどうにかできるものではない」という日比野の言葉の意味を考えていた。

 これまで、営業部は山口課長を筆頭に、「顧客のニーズを全て満たすことが開発の仕事だ」の一点張りで、エンジニアの創意工夫など一切頭にない無理難題を技術部に突き付けてきた。開発費、開発工数が大幅に削減される中、この無理な要求をうのみにして、まともに言い返せない技術部のメンバーや、言われっぱなしの状況が、須藤はずっと気に入らなかった。製品開発の在り方、価値について何ら関心を示してこなかったこの連中が、今では会社や経営者に対して、あからさまに不満をあらわにしている。

 もしかすると、社長の日比野はこうした変化に気づいていて、このような社員を育ててしまった社風やマネジメントにいち早く問題意識を持っていたのかもしれない……と、東京本社から湘南工場に戻る電車の中で、須藤は考えていた。

須藤が送った1通のメール

 須藤に対し、「純粋に好きなことを続けられることっていいよな」と言った日比野。今、この状況になって、自分の好きなことは何だろうとあらためて考えてみると、やはり、「映画好きが高じてプロ向け映像機器メーカーである湘エレに入り、開発した製品が撮影に使われて、素晴らしい映画ができること」。それ以外にはない気がする。

 好きなことや趣味の延長線上で仕事ができるのは、とても幸せなことかもしれない。当社の多くの社員はなぜ、湘エレに勤めているのだろう? つまらないことでも生活のため、割り切っているんだろうか。

画像はイメージです

 日比野と直談判をした週末、家で子供の遊び相手をしながらも、須藤の頭の中は会社のことでいっぱいだった。

 あくる日、須藤は何人かに宛てて以下のようなメールを書いた。送り先は、同期もいるが、部門も年齢、立場もまちまちだ。物事をハッキリ言う須藤には、あからさまに敵意をむき出しにする人も少なくないが、屈託がなくいつも全体のことを考えている須藤に好感を持っている社員も要所要所には、いる。その彼らに向けたファースト・メッセージでもあった。

 

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